ポジショントークをしない男
俳優やタレントに取材をすると、「本当に思っていること」よりも「自分が言うべきこと」を語る人が多い。いわゆるポジショントークというやつだ。取材する側からすると、どこか物足りなく感じることも少なくない。
その点、小栗旬は自分が本当に思っていることだけを語る。質問を正面から受け止め、しっかり考え、自分の言葉で返す。ときに「わからない」と言うこともあるし、活字にできないようなことを語りだしてハラハラすることもある。でもそれが本音だとわかるから、こちらも真摯に彼の言葉に向き合うことになる。
不器用だという人もいれば、面倒だという人もいるだろう。でもキャリアを見れば、そういう小栗旬だからこそ一緒に仕事をしたい、応援したいと思っている人がたくさんいることが伝わってくる。
小栗は現状に満足しない男だ。常に飢えている。常になにかを渇望している。どんな大作に出ようと、出演作がどれだけヒットしようと、満たされることがない。その飢え、渇望こそが俳優としてのエネルギーの源なのだ。走り続ける俳優、小栗旬。そのゴールはまだはるか先にある。